今回の注目は何と言っても1979年以来のコース改修でした。個人的にも楽しみだったのですが、蓋を開けてみれば様々な問題点が見えて来ます。
それを話す前にレースのキーファクターをおさらいしておきます。NASCARのリストリクタープレートレースは終始アクセル全開の直線レースだと考えて下さい。エンジンや車体がほぼ一緒なので勝負の分かれ目は空気抵抗を減らすテクニックとなります。
基本となるテクニックは列車のように並んで空気抵抗を減らすリーディングドラフトです。リーディングドラフトは以前説明したようにFダクトに似た仕組みだと考えて下さい。そしてリーディングドラフトよりもスピードが伸びるのがバンプドラフトです。バンプドラフトとは後ろの車が前の車を押してスピードを上げるテクニックです。
この2つのテクニックのバランスがレースの見た目を左右します。2000年代前半まではリーディングドラフト中心のレース展開でした。路面のグリップの関係でバンプドラフトは直線部分でしか出来なかったからです。オープニングラップとファイナルラップ以外は1列状態で進む事が多く、中だるみするレースが多かったと思います。
2000年代後半になるとコーナー部分でもバンプドラフトが可能になりました。それにより1周まるごと2台合体走行をするドライバーも現れます。2台合体走行を言い換えると「1台のマシンにエンジン2機積んでいる状態」です。Fダクトより効果があるのは言うまでもありません。
そして今回は2台合体走行だけのレースでした。路面のグリップが高くなったため2台合体走行が容易になったからだと考えられます。ちなみに現地ではこの現象を「2CAR TANGO」と表現しているようです。
個人的には「見栄えが良くない、迫力がない」というのが第一印象です。
何よりグリーンフラッグが振られたら「はい2人組作って」という感じがして非リア充のおやじと会長には切なく感じるのですwww。
リーディングドラフトとバンプドラフト(2台合体走行)のバランスが取れていた近年のタラデガ戦の方が面白いと思います。
という事くらいはNASCAR運営側も気づいたようで、バドワイザーシュートアウトからデイトナ500までに様々な工夫をこらしました。具体的にはラジエーターの冷却性能を下げるようなレギュレーション変更をしました。前の車をずっと押しているとオーバーヒートしてしまうという意図です。その結果、わずか一週間で勢力図が変わります。この影響をモロに受けたのがケビンハービックです。近年ハービックがプレートレースに強かったのは常時後ろから押してもオーバーヒートしないマシン作りにありました。ところが今回は早々にエンジンがオーバーヒートしてしまいます。
結果的にこのルール変更は正しく作用しませんでした。後ろのドライバーはオーバーヒートを避けるために前の車から半車身ずらしてエアを取り込もうとします。ところがこの動作をコーナー中でしてしまうと前の車がバランスを崩すことになります。それに起因したクラッシュが多発しました。クラッシュが多かったとはいえ単独スピンの連発だったので盛り上がらなかったはず。今回の結果を踏まえてNASCAR側はどう対策を練って来るでしょうか。
問題はそれだけではありません。ドラフティング関係のテクニックバランスの改善だけではおそらく駄目だと思います。今回のレースが淡白だった原因はズバリ「舗装が良すぎてインコース絶対有利」という点です。これまでのデイトナではインコースをぴったり回るならコーナーでほんの少しだけアクセルを緩めないといけません。最速のライン取りは基本通りアウトインアウトなのですが、混戦になるとそんなライン取りが出来ないから更なる混戦となるのです。ところが今回はインベタでアクセル全開で更に2台合体まで出来ました。外側から抜かすのは難しかったのです。トレヴァーベインが勝てたのもインコースを堅守したのが大きな要因だったといえます。個人的には昔のブリストルを見ている感じがしました。
アウトから抜くならバドシューアウトのリスタートでカイルブッシュが見せた阿波勝哉走法しかないのでしょうかねえ。
というようにここまで「NASCARオフィシャル側は改善策を練らないといけない」と書き連ねてきましたが、選手側の頑張りでどうにかなってしまうという可能性も存在します。2台合体が最強である事は間違いありませんが、「3台合体ならもっと速いだろ」と考えるドライバーも出てくるはずです。当然3台の息が合わないとクラッシュするだけですが、不可能を可能にしていくのがアメリカンプロスポーツというもの。個人的にはジョーギブスの3台が挑戦しそうな気がしてなりません。夏のデイトナも楽しみにしておきます。
それを話す前にレースのキーファクターをおさらいしておきます。NASCARのリストリクタープレートレースは終始アクセル全開の直線レースだと考えて下さい。エンジンや車体がほぼ一緒なので勝負の分かれ目は空気抵抗を減らすテクニックとなります。
基本となるテクニックは列車のように並んで空気抵抗を減らすリーディングドラフトです。リーディングドラフトは以前説明したようにFダクトに似た仕組みだと考えて下さい。そしてリーディングドラフトよりもスピードが伸びるのがバンプドラフトです。バンプドラフトとは後ろの車が前の車を押してスピードを上げるテクニックです。
この2つのテクニックのバランスがレースの見た目を左右します。2000年代前半まではリーディングドラフト中心のレース展開でした。路面のグリップの関係でバンプドラフトは直線部分でしか出来なかったからです。オープニングラップとファイナルラップ以外は1列状態で進む事が多く、中だるみするレースが多かったと思います。
2000年代後半になるとコーナー部分でもバンプドラフトが可能になりました。それにより1周まるごと2台合体走行をするドライバーも現れます。2台合体走行を言い換えると「1台のマシンにエンジン2機積んでいる状態」です。Fダクトより効果があるのは言うまでもありません。
そして今回は2台合体走行だけのレースでした。路面のグリップが高くなったため2台合体走行が容易になったからだと考えられます。ちなみに現地ではこの現象を「2CAR TANGO」と表現しているようです。
個人的には「見栄えが良くない、迫力がない」というのが第一印象です。
何よりグリーンフラッグが振られたら「はい2人組作って」という感じがして非リア充のおやじと会長には切なく感じるのですwww。
リーディングドラフトとバンプドラフト(2台合体走行)のバランスが取れていた近年のタラデガ戦の方が面白いと思います。
という事くらいはNASCAR運営側も気づいたようで、バドワイザーシュートアウトからデイトナ500までに様々な工夫をこらしました。具体的にはラジエーターの冷却性能を下げるようなレギュレーション変更をしました。前の車をずっと押しているとオーバーヒートしてしまうという意図です。その結果、わずか一週間で勢力図が変わります。この影響をモロに受けたのがケビンハービックです。近年ハービックがプレートレースに強かったのは常時後ろから押してもオーバーヒートしないマシン作りにありました。ところが今回は早々にエンジンがオーバーヒートしてしまいます。
結果的にこのルール変更は正しく作用しませんでした。後ろのドライバーはオーバーヒートを避けるために前の車から半車身ずらしてエアを取り込もうとします。ところがこの動作をコーナー中でしてしまうと前の車がバランスを崩すことになります。それに起因したクラッシュが多発しました。クラッシュが多かったとはいえ単独スピンの連発だったので盛り上がらなかったはず。今回の結果を踏まえてNASCAR側はどう対策を練って来るでしょうか。
問題はそれだけではありません。ドラフティング関係のテクニックバランスの改善だけではおそらく駄目だと思います。今回のレースが淡白だった原因はズバリ「舗装が良すぎてインコース絶対有利」という点です。これまでのデイトナではインコースをぴったり回るならコーナーでほんの少しだけアクセルを緩めないといけません。最速のライン取りは基本通りアウトインアウトなのですが、混戦になるとそんなライン取りが出来ないから更なる混戦となるのです。ところが今回はインベタでアクセル全開で更に2台合体まで出来ました。外側から抜かすのは難しかったのです。トレヴァーベインが勝てたのもインコースを堅守したのが大きな要因だったといえます。個人的には昔のブリストルを見ている感じがしました。
アウトから抜くならバドシューアウトのリスタートでカイルブッシュが見せた阿波勝哉走法しかないのでしょうかねえ。
というようにここまで「NASCARオフィシャル側は改善策を練らないといけない」と書き連ねてきましたが、選手側の頑張りでどうにかなってしまうという可能性も存在します。2台合体が最強である事は間違いありませんが、「3台合体ならもっと速いだろ」と考えるドライバーも出てくるはずです。当然3台の息が合わないとクラッシュするだけですが、不可能を可能にしていくのがアメリカンプロスポーツというもの。個人的にはジョーギブスの3台が挑戦しそうな気がしてなりません。夏のデイトナも楽しみにしておきます。